2012年 入社 特別養護老人ホーム寿楽園 施設長
下薗 聡
挑戦するからこその大変さを踏まえて、仕事を楽しむメンバーの姿が頼もしく見えるんです
2019年の施設移転を機に「挑戦」という言葉が僕の代名詞と認識してもらえるよう突っ走ってきた感があります。当時はそうやって意識しないと有言実行できないかもしれないという怖さも正直あったのですが、今ではだいぶと自然体で挑戦を重ねる自分になれたのかなと思っています。
CHARCOALBOTTLEの立ち上げに続いて、敷地内に20ftコンテナと約20坪のウッドデッキを設置した面会スペースを作るなど、多くの人に足を運んでもらえる環境を整えていきます。また、介護サービスについても入居者様をお迎えする専門ユニットの新設や、コミュニケーションや業務効率アップのために従来の介護ソフトとは違うアプリを導入するなど、毎年のようにアップデートが生まれる状況が当たり前になってきました。
正直、僕のマンパワーだけで周囲を引っ張っている時期もありましたが、最近では「楽しい」「ワクワクする」「次はこれをしよう」と、主体的な言葉を発するメンバーも増えてきましたし、「寿楽園といえば挑戦だよね」といった雰囲気が広がっていることを強く実感します。と同時に、たった数年で一回りも二回りも成長していく彼らの姿に胸がいっぱいになっています。
僕が普段から意識していることは『リーダー(役職者)には自分の考えや感情をストレートに共有すること』です。というのも、現場側で生まれるネガティブな意見や不満は、アレもコレも何でも僕の耳に入ってくるわけですが(笑)、逆に僕が抱く感情や考えをスタッフ側が耳にする機会ってあまりない、と思ったんです。
でも、スタッフ自身も自分の乗り込んだ船が「今どこに向かっているのか?」「どんな未来を手繰り寄せようとしているのか?」「今、船長はどんなビジョンを持っているのか?」といった視点は気になっているはずですし、それを知る機会が増えれば、もっと自分の乗り込んだ船(寿楽園)のことに興味を持って関わってくれると思ったんです。
その機会を増やそうと思って、入社5年未満のスタッフを対象に僕自身が毎月研修をするようにしました。全体の約2割にあたるスタッフと時間を共有していますが、僕の役割を農作業に例えると、土を肥やすことだと捉えています。スタッフに対して僕や現場のリーダーが成長を促す言葉をかけたり、時に厳しく指導する場面がありますが、それを自分の栄養としてポジティブに吸収できるかどうかは、それまで築いてきたお互いの信頼関係や理解の深さによって大きく変わってくると考えているからです。
人の考え方や意識は簡単に変わらないってよく耳にします。もちろんそういう場合もありますが、毎月の研修を続けてきて思うことは、人って「きっかけ」さえあれば、意外に変化していけるものだなってことです。やっぱり採用後も教育は大事ですし、お互いに変化し成長し合えるからこそすごく面白いと思います。こうした寿楽園の文化に染まっていく仲間が増える度にチームはより一層強くなるし、目の前の挑戦を一緒に楽しめる職場になっていくんだと思います。
良いサービスを作るだけじゃなく、良い届け方をしたいと心底思います
僕たちの役割を考えた時に、介護に困っている人の助けになっていればそれで良い、と思ってきた節があって、それ自体は間違いではないと思うのですが、自分たち独自の物差しでサービスを測っていたかもしれない、と思うようになりました。行政から指摘されないためとか、ケガや事故を起こさないためとか、心身の状態を下げないため、といったマイナスを起こさないための体制や品質維持に躍起になっていたのではないか。そう考えた時に、水道や電気のように生活に欠かせないインフラとしての役割を果たせばそれで終わりではなく、僕たちはサービスとしての介護を届けたいといった思いが強くなってきたんですね。
そこで、飲食や小売のようにサービスや商品のわかりやすさ、つまり検討をする仕組みをより明確にするための取り組みとして、見積書とサービスの概要を最初の段階でご案内できるように従来の流れを変えることを始めてみました。
一般的に、老人ホームの相見積もりを何軒も集めるのは時間も労力も掛かります。施設に足を運ばないとパンフレットや料金の情報が取れないことも多くあります。加えて「要介護度や年間所得額によって料金が変化するので」といった口実で施設からの説明が料金表の解説(読み方)に着地して終わるのが現実です。サービス内容に関しても、パンフレットに書かれた文面を読み上げるだけといった場合もあります。実際に寿楽園の担当者も「他施設も見学してご検討ください」とお伝えしているのですが、他施設との相見積もりをしやすいカタチで情報をお渡しできていないと感じるようになったんです。
話を戻しますと、今の寿楽園は見積書とサービスの概要を手にした状態で他施設の見学に行くことを推奨しています。僕たちが理想とするのは、見積書とサービスの概要を事前にネット上で取得できる手軽さを整えること。施設の見学は最終的な確認の場にしていきたいと考えています。
ご入居後は専門の資格を保有するスタッフが衣食住のサービスを行うわけですが、そのサービス自体をお客様が目利きするのはとても難しいのが現状だと思います。僕が言うと身内贔屓に聞こえるかもしれませんが、サービス品質向上のための会議や研修は日々繰り返し行なっています。そのため、良いサービスを届けられているとは思っていますが、実際には届け方が雑になってしまったり、ご家族への報告内容が専門用語の混じったわかりにくい言葉になっていたり、冷たい印象を与えてしまったりする場面があると感じています。
良いサービスを提供して終わり、ではなく、ちゃんとお届けするところまで責任を持って向き合いたい。そこにこだわっていくべきだと心底思っています。
正直、これまで軸足を置いてきた高齢者福祉という分野はあまり大きな変化をしてこなかったと思っていますが、この先さらに良いものにしていくためには、中にいる僕たちが積極的に変化を起こさなければいけないと思っています。
介護や福祉のことをもっとわかりやすく届けなければいけないと思いますし、いざ必要になって緊急度が高くなってから慌てるのではなく、あらかじめ選択の幅を広げてもらえるような関わり方ができるようにしていかなければいけないと思っています。